早速ですが、『土地探し』と『暮らしづくり』を別々に考えていませんか?!
土地探しから始まり、取得した土地に家を建てるというのが一般的ではありますが、これを別々に考えてしまうと、場合によっては理想としている暮らしづくりからかけ離れてしまうということも少なくありません。
『土地は建物に大いに影響を与えますし、暮らし自体にも影響を与えている』ということを忘れないようにしましょう。
理想とする暮らしづくりを行えるかどうか、土地固有の特徴から判断することはとても大事なことなのです。
そこで今回のコラムでは、住みたい地域に見つけた『土地』自体が、あなたの理想とする暮らしづくりに合うか否かを見極めるポイントをまとめていきます。
土地取得の際に、最終的な判断基準の一つとなりますので、ぜひ一読ください!
土地の特徴を方位・形・大きさ・道路位置から判断する
建築設計は、その土地の持つ特徴を読み取った上で、ご家族それぞれの理想の暮らしを叶えられるようにまとめていくのが常であります。
そのため、土地の使い方がとても大事になってきます。
『土地探し』から『暮らしづくり』を一連の流れとして、どんな暮らしをしたいかを念頭に置いて土地を決めることが出来れば、暮らしづくりの第一歩は成功したと言えるのではないでしょうか?
それでは、理想の暮らしを頭に想い描いた上で、あなたにとって良質な土地であるかを見極めるポイントをまとめていきますので、一緒に考えてみましょう!
一般的な核家族を対象として住宅を想定してみましょう。
『建物37坪、車が2台置けて、庭やウッドデッキも楽しめるような、大らかで心が豊かになる暮らし。日中に太陽の陽射しがたっぷり入る南側にリビングやダイニング、キッチンなどの主要な居場所を配置したい。』
この様な家づくりを望んでいる場合、どの様な土地を選べば間違いないでしょうか?
一般的な住宅街において、土地の特徴は方位、形、大きさ、道路位置によって決まるといっても過言ではありません。
この要因から、土地の特徴を紐解いてみましょう!
パターン① 東・西側道路の場合
道路が東または西側にあり、建物が並んでくる場合。
新規の分譲地によく見られる46坪程度の土地だと、建物と駐車スペースを確保すれば余白はほとんど残りません。
1階に関しては、特に冬は直射日光がほとんど当たらなくて、真っ暗な団地であることも分かってきます。
冬の日射も望めて、庭やウッドデッキも楽しみたいのであれば、南側の隣の建物との距離を5~6mあけないとなりません。
逆算すると、65坪前後の大きめの土地を選ぶ必要があると分かりますね。
パターン② 南側道路の場合
道路が南側にある場合、道路幅の分だけ建物は建たないので、狭めの土地であっても日当たりの心配はありません。
そのため、人気も高くなるので、土地の坪単価が高くなる傾向にあります。
好条件に見える土地ですが、注意しなければならないのは道路からの視線です。
日当たりは良いが、視線を気にしてカーテンが下がったままの生活だと本末転倒です。
道路からの視線に対して、塀や植栽などでしっかりと対処する必要があります。
パターン③ 北側道路の場合
道路が北側にある場合、道路から見て手前が駐車スペース、奥がメインとなる居住・庭スペースとなるのが特徴です。
東西道路の場合と同じように、南側の建物と十分な距離がなければ日陰から逃げることができません。
ですので、北側道路の場合は南北に長い土地が有利になってくるのと、それなりに大きい土地が必要になってきます。
北側道路の土地は比較的安い土地が多いように思えます。
条件を満たせば、広い土地を安く買うことができるので狙いどころでもあります。
たとえ狭小な土地であっても、どうしても日照条件が悪くなる土地であっても、2階リビングとしたりインナーガレージを設けたりと、建築的な回答で問題を解決することもできます。
最後にも書きますが、どんな暮らしをしたいかを共有できる建築の専門家をパートナーとして、一緒に土地探しをすることで、土地の見方が変わってきます!
注意が必要な土地の特徴
様々な種類の土地がある中で、注意が必要な土地もありますので、確認しておきましょう!
変形地
不規則な形状の土地や旗竿地など、綺麗な長方形や四角形ではない場合。
規格が決まっていて構造がさわれないハウスメーカーの企画型住宅だと、上手く当てはまらなければ進めることができないというケースもあります。
工務店やハウスメーカーに事前に相談することが大事です。
境界が不明確な土地
隣地境界の印がなく、土地の境界が不明確な場合。
後々、トラブルにつながりますので、不動産屋に話して、土地の決済前に境界の明示をしっかりするようにしましょう。
間知石や擁壁にヒビが入っている
崖地や高低差の大きい土地には、間知石や擁壁が施されています。
土壌の横圧に抗して斜面の崩壊を防ぐために構築されているもので、これにヒビや破損が見受けられると危険です。
しかし、見た目でしか判断することができなくて、設計者の判断にゆだねられることが多いのです。
建物を地盤で直接支えられるように地盤改良が必要になってくるので、数百万円のコストアップにもなります。
解体更地渡しの土地
既存の家屋が残っている状態で土地を買う場合、不動産屋側で解体を進めて土地が引き渡されるケースがあります。
少しでも費用を抑えようとして、解体したガラを地中に埋めて処理してしまうという悪徳業者もゼロではありません。
いざ新築の工事が始まり土地を掘ってみて、ガラが大量に埋まっていることに気づくなんてことも。
その場合、土地契約後なので、ガラの処分費等は買主が負担することになります。
工事車両が入らない
土地までの道が狭く工事車両が入っていけないこともあります。
この場合、資材などを小さい車両で細かく運んだり、機械が使えなくて手作業になってしまったりと、その分の追加費用が発生します。
工務店やハウスメーカーに事前に相談してみましょう。
設計者を土地探しのパートナーにする
最後にオススメするのは『設計者を土地探しのパートナーにする』ということです。
その土地に相応しい建物がどういうものかをイメージできるので、土地を買う側としてもとても参考になりますよね。
また、法律や構造のことなど、建築の専門家にしか判断できなこともたくさんあります。
不動産屋が建築的な視点でのアドバイスというのは一般的には難しいと思います。
ですので、探すプロセスの途中からでも設計者を交えて、最終判断をするまでは随時確認するようにしてみましょう!
これまでまとめてきたポイントを含めて、あなたにとって良質な土地であるかを見極めてみましょう!
そして、土地の契約前には必ず、住宅会社で全体資金計画とどんな家づくりが出来るかを合わせて確認しましょう!