基礎の断熱のお話

先日、同じ住宅業界にいてよく意見交換をする友人から連絡があり基礎の断熱の話になった。
今まで床断熱をメインでやっており、基礎断熱も検討したいとのことで少しだけアドバイス。

高気密高断熱の家づくりに携わってきた9年間で確かな知識と技術と経験を得てきたと自負しております。この機会に自分の中でも改めて基礎の断熱について整理してみようと思います。

基礎断熱か床断熱か

家づくりにおいて、足元の断熱方法は大きく分けて「床断熱」と「基礎断熱」に分類できます。
床の真下で断熱する床断熱に対して、基礎断熱は基礎の周りで断熱する方法で、それぞれ一長一短です。

佐々木組では基礎断熱を標準仕様としています。なぜか。
それは床下空間を使うことで得られる利点が多いからであります。

基礎断熱は基礎を囲むように断熱をするので、床下空間は室内と同じ扱いとすることができます。
床下に暖房器具を入れて床下暖房とすれば、足元から包み込まれるような極上の温熱環境となりますし、基礎コンクリートの蓄熱効果を利用して年間を通して家全体の温度も安定させることができます。
床暖房と違って、輻射熱で床がじんわり温かくなるので、低温火傷の心配もありません。

1階の暖房が床下で完結するので、リビングやダイニングなどの主要居室に暖房器具が現れないのも意外と喜ばれるポイント。
ストーブやパネルヒーターは家具のレイアウトを制限してしまうのと、部屋がスッキリ見えるというわけです。

施工性やメンテナンス性でも基礎断熱に軍配が上がります。

床断熱では、設備配管等の床を貫通するすべての箇所で気密断熱処理をする必要があり、施工精度で性能にバラつきが出てきます。
基礎断熱では、基礎と一体で断熱施工が可能で、設備配管まわりの処理も容易で、安定した性能を確保できるのです。

また、室内温度に近い基礎内部で設備配管を行うので、外部が氷点下になる真冬でも水道管が凍結するなどの凍害リスクもほとんどないと言えるでしょう。

これまでの話は住宅全体が高気密高断熱であることが大前提となるので、性能の低い家に採用するのは要注意。

もちろん基礎断熱にもデメリットがあって、コスト面で見ると床断熱の方が費用を抑えることができます。
それに、基礎断熱の施工経験が浅いと、床に設けるガラリ位置の判断が難しく、適切な設計でなければかえって床下のカビや腐朽に繋がってしまう恐れがあるのです。

基礎断熱施工の細かい配慮

住宅性能は計算されますが、実は、当社では計算値に影響のない部分での施工の配慮が多くあります。
それが、超低燃費住宅に一役買っているとも思っておりますし、見えない部分こそ丁寧で綺麗な施工が重要であると思うのです。

基礎を貫通する設備配管まわりが熱橋とならぬように発泡ウレタンで断熱処理。

基礎と土台間で気密を確保するために専用部材を使用。
土台が乗って露出した基礎部分も熱橋とならぬように断熱処理。
防湿土間が将来的に下がらない様な工夫などなど、住宅性能は探求が尽きません。

その探求の中に、「あまりコストアップをさせないで」「多くの方に手の届く高性能」というテーマも含まれるため、これからも、日々、試行錯誤し続けていくのが私たちの使命でもあると思うのです。


みなさん、デザインや意匠のことに目が行きがちですが、性能や構造も同じくらい大切ですよ?
家づくりは、その先の「心豊かな暮らし」を創っているのですから。