カウンターの適正な高さを考える

大変嬉しいことに、店舗の設計施工にも関わらせていただく機会が増えてきています。
そこで今回は店舗ではほぼ必要不可欠となるレジや受付のカウンターのお話。

お店の業種や空間デザイン、用途や機能など、カウンターと言っても多種多様で、その店舗に合った
最適解が求められます。
そのため、フルオーダーメイドで家具建具屋さんで作製することがほとんどです。

ヒューマンスケールの考え方が大切で、使う人の身体に馴染む様に心がける。
住宅設計にも通ずるところがあるのです。

カウンターの適正な高さを考える

設計する上で一番大事な勘所、それは『高さ』であります。

みなさんが使っている机の高さはどれくらいでしょうか?
650~750mmがほとんどだと思います。
日本人が最も使いやすいと思える標準の高さは決まっており、実はこの様に標準的に使用される寸法は他にも無数にあります。

私(身長180cm)の場合、650mmだと低く感じます。
視線が自然と下になり、長時間のパソコン作業だと首が悲鳴を上げる。
750mmだと、姿勢も良く目線も下がり過ぎずに作業に没頭できる丁度良い高さ。

店舗の場合は、受付・レジを兼ね備えることが多いため、お客が使う側は立っている状態で使いやすい高さに設定します。
1100mm前後が丁度良い寸法で、高すぎず低すぎず。

これを図面に起こすと下の写真の様になります。
座って作業する場合は、作業カウンターとお客側のカウンターの間にスペースができるので、
A4サイズのファイルが置けたりもする。
足元に棚が欲しい場合は、足に干渉しない様に奥まった位置に設けるように注意しましょう。

これに加え、店舗の場合は椅子を使わずに立ったままで作業したいという要望も多くあります。
立った状態での使いやすさの目安は、作業する際に腕が80~90度に曲がっている状態がベストだと
考えています。

カウンター下に収納を多く設けることができるのも良いところで、引出しにしたり扉を付けても
気にならない。
ここらへんのデザインは何を重視したいかで必然と決まっていくのであります。

使う素材や色味は、コストを気にしながらも、店舗全体のトータルデザインで。
来店するお客様を最初に迎い入れるので、ここらへんも設計の腕の見せ所であります。

カバンを置く棚やコンセントも要望によって自由に設けることができます。
フルオーダーで作製する家具は、空間と身体に馴染みますし、無駄なスペースも生じない。
これが造作する一番のメリットです。


過去の製作事例を少しご紹介。

美容室のレジカウンター。
ナラ突板の板目を横使いにして、木本来の色味となるクリア塗装で仕上げました。
カバンを置ける棚はマットな黒ポリでアクセントに。
グレーを基調とした品のある空間に馴染み、木の温かみで優しく迎え入れます。

専門的な内容で少し分かり難い部分があると思いますが、ぜひ家づくりや店舗づくりの参考に。