無垢?複合?床材の違いを知る

住宅において床材の選定はとても重要であります。

一般的には木質系床材を使用することが大半で、無垢(単層)フローリングと複層フローリングに大別できます。
この違いを理解し、自分達に合った床材を選んでいきましょう。

複合フローリング

一層以上の基材の表面に0.3mm程度の厚さの化粧加工用の木材(突板)を張ったもの。

表面の突板の保護のために表面はウレタンの塗装が施されていることがほとんどです。
カラーバリエーションも豊富にあることが特徴と言えます。

しかし、この塗装のおかげで表面がテカテカしてしまい、見た目の風合いは数段劣りますし、足触りの感触もツルツルします。
木の表情が失われてしまうのが、勿体ない。

また、暮らしているうちに家具の移動か何かで、この突板がめくれると補修のしようがなくなる。
表層を越える傷が付いた場合、見た目が極端に悪くなると言えます。

一方で、無垢(単層)フローリングは15mm厚の材料が多く、基材がない本物の木。
木の風合いを失わないような自然塗装で仕上げて、なおかつ足触りもとても気持ちが良い。

多少の傷が付いた場合でも、どこまでいっても本物なので、やすりをかけて塗料を馴染ませてあげれば元通りになる。
または、その傷でさえ年が経つごとに「味わい」となり得るのです。


一方で複合フローリングのメリットとしては、
無垢が一枚一枚張るのに比べて、複合フローリングは数枚分が一対になっているので、施工速度が数倍になり、大工手間が省けます。
さらに 塗装品なので、後からの仕上げ・塗装工程も省けて、総じてコストを抑えることができます。

また、寸法安定性がよく、フラットな仕上がりになります。
無垢の場合は収縮と膨張を繰り返すので、隙間ができてしまう可能性も否めません。

フローリングの頂点と言える製品が『3層フローリング
複合フローリングの一種ですが、4~5㎜ほどの薄い板を3層で張り合わせたフローリングもあります。
表面の板が厚く、仕上げも自然系で、無垢と同じ風合いがあります。
木の部分が厚いために無垢板と同様に長期的には研磨することも可能。

複合なので変形しにくく、フラットな仕上がり。
無垢と複合のメリットを併せ持つ最強のフローリングです。

ただし、無垢のフローリングよりも高価で、高額な住宅でよく用いられています。
予算が合わずにご提案しづらいというのが正直なところであります。

無垢、複合のメリットを整理

無垢と複合との比較で、メリットを整理するとこんな感じでしょうか。

風合い・表情・見た目 — 無垢
足触り — 無垢
耐久性 — 無垢

コスト — 複合
寸法安定 — 複合

両者とも特徴があるわけで、どっちが良い悪いということはありません。
住まい手の価値観に合わせて選ぶことが大切であるのです。

『それでもやっぱり無垢が良い』

これはあくまで、私の考えです。
一生一回あるかないかの家づくりで使う材料として何が良いか?

身体の触れるところはなるべく木の温かみが欲しいし、自然素材を品よく使用した空間は最高の居心地となる。
メンテナンスなんかで気を使わなければならないが、より愛着が増して、より大事に住まおうとする。
自分達と同じ歩幅で家もどんどん味わい深くなっていき、日々新しい発見がある楽しさ。

無垢材をはじめとする自然素材が、私たちの家づくりをとても豊かなものにすると考えています。