軽井沢で建築巡礼④

軽井沢巡礼最後の日、いつかは絶対に行っておかねばと思っていた建築と出会う。

軽井沢まで足を運んだ一番の理由といっても過言ではない。

それが、アントニン・レーモンド、吉村順三氏の建築。

「夏の家」 設計:アントニン・レーモンド

レーモンド氏自身のアトリエであるが、今はペイネ美術館として使用されている。
立地が変わってしまっているのが残念だが、内部はしっかりと保存されている。

弁柄色の外観が緑あふれる自然の中に映える。

杉丸太を表しにした架構が、内部空間の見事な広がりと開放感をつくっている。

レーモンドが良く使う、柱芯外しの建具納めによって、外部との連続感が強まりとても気持ちが良い。

内部は写真撮影禁止であったので、ネットから拝借。

この開放的でダイナミックな空間なのにホッとする落ち着き。。。ごちそうさまでした。

そして、レーモンド建築で有名な「聖パウロカトリック協会」へ。

建築好きにはたまらない、神聖な場所。

60度近い急勾配屋根の小ぶりな外観。

内部に入ると見事に裏切られる。外観からは想像もできない豊かな空間が広がる。
丸太によるシザートラス、登り梁がそのまま現し。イスも当時は足場に使用されていた丸太によるもの。

アントニン・レーモンドの5原則というものがある。

「自然性、直截性、正直さ、単純性、経済性」

まさに、この原則が体現されている建築であろう。

極めて単純な構造であり、構造材をそのまま正直に見せる。
当時では安価な足場丸太を素直に使用する。
高価な材を使わなくても、空間が劣るどころか、逆に簡素で質の高い空間になることを伝えてくれる。

まさに、「簡素にして品格あり」。ごちそうさまでした。


最後の締めは「軽井沢の山荘(吉村山荘)」

建築を学ぶ人には聖地とも言える場所。
現在も人が居住しており、敷地には入れない。

絶妙なアプローチ、その先にある自然に調和する佇まい。
時が止まったかのような静けさの中、ボーっと立ち尽くす。

最後にここで締めくくった軽井沢巡礼は、これから目指すべき建築の指針となるような中身の濃い旅でした。
今ある自分の持つ思いを見失いかけたら、また訪れたいと思います。

軽井沢建築巡礼シリーズ完